配色を考える事は、フラワーデザインやWebデザイン、ファッションなど、何かをデザインしようとする時にとても大切ですね。色が与える印象、役割はとても大きく、色の組合わせで失敗してしまうとデザイン全体に影響してしまいます。
とはいえ、理論的な難しい色彩学の勉強はなかなか覚えられません。
まして、フラワーデザインの場合、自然の植物の色の組み合わせですので、厳密な色彩学とは違うんですよね。
「花選びがわからない」「配色が難しくて悩むんだけど〜」といった時に、ちょっとだけわかっていれば役に立つかなぁ〜と思う色の知識を私自身の備忘録としても記しておこうと思います。目次
1. 色の基礎知識
1-1 色って何だろう 「無彩色」と「有彩色」
色とは、目が感じる事の出来る光(可視光)の性質のひとつで、光(太陽光)が物に当たって反射したり、透過して目に入って来た時に、目の中の色を感じる細胞と明るさを感じる細胞がその情報を脳に伝達して脳が色として認識したものです。なので、光がなければ、色は存在しません(暗闇の世界)
「色々」と表現されるように、私たちの周りには認識出来る色の種類は一千万色とも言われているそうです。
色には、「無彩色」 と 「有彩色」 があります。
「無彩色」 = 「白」 と 「黒」 そして、白と黒との混合で得られるまざまな濃度の灰色 (明度だけをもつ黒・灰・白) 明度が最も高いの色は“白”で、最も低い色が“黒” 鮮やかさのない色(明度だけの属性を持ち、色相と彩度を持ちません。)
「有彩色」 = 無彩色以外の色味がある全ての色を、「有彩色」 1-3で出てくる色の三属性の全てを持ちます。
1-2 「3原色」とは?
原色 = まじりけのない、純度の高い色(純色)で、他の色との混合で作り出せない色のことです。様々な色を作り出す もとになる「色」
「光の3原色」と「色材の3原色」があります。
【光の3原色】 = 赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)
光の場合にはこの3つの色を使うと、ほぼすべての色が再現できます
光を混ぜるとだんだん明るくなるので、全てが混ざり合うと白になります。「加色混合法」
モニターやテレビなどの発光体にはこのRGBで表現されます。
【色材の3原色】 = イエロー(Y)・マゼンダ(M)・シアン(C)
絵の具をすべて混ぜ合わせると光が吸収されてしまうので、黒になります。「減色混合法」
印刷の場合は原理的には3色を混ぜ合わせて黒になるのですが、実際のインクは3色を混ぜ合わせても黒にできないので、別にブラック(K)を加えたYMCKで表現します。
1-3 色の三属性
【色の三属性】 = 色相 彩度 明度
色相
色相とは、「無彩色」以外の、赤み・青みと言った色味の事です。
赤系、黄色系、緑系などの色合いの系列で言ったり、赤っぽい等と言う時は
色相で色味の違いを判別していることになります。
白、灰色、黒という無彩色には色味はありません(色相はもたない)
太陽光線に含まれる赤橙黄青紫のスペクトル色を基本にそれぞれの中間色を加えて円にした、色相環(カラーサークル)で表します。
このカラーサークルの中で、ある色(例として赤)を基本にすると、赤が基色。その隣りの同系の色が類似色(橙や紫) 基色の反対が補色(青緑) 相対する位置にある系統の色が対照色となります。※上図のカラーサークルは、各系統を2系列に分けていますので、色彩学のカラーサークルとは違う所があります。
明度
明度は明るい色、暗い色などと言った、色の明るさの度合いです。白になるほど明度が高く明るい色 (白っぽくて明るい色は明度が高い、黒っぽくて暗い色は明度が低いと言います。 )
白 ライトグレー グレー ダークグレー 黒
高い←←←明度→→→低い
彩度
彩度は、鮮やかな色、鈍い色など、色の鮮やかさの度合いの事です。
白、黒、グレーといった無彩色は色みをまったく含んでいないので、彩度はゼロになります。
有彩色の中で各色相ごとに、最も彩度の高い色のことを純色と言います。
それ以上彩度や明度を上げようとしても上げられないレベルの色で白、黒、灰色を含まない顔料や染料、インクなどで色再現される最も鮮やかな色の事です。【ビビッドな色】と表現します。
純色に白をプラスした色を明清色【ティントカラー/パステルカラー】と言い、明るく澄んだ色になります。反対に黒を加えてできた色を暗清色【シェードカラー】と言い暗くて澄んだ色のことです。
清色(濁っていない色) = 明清色と暗清色
純色にグレイを混ぜてくすんでいく(濁っていく)にしたがって、彩度は低くなります。中間色や・濁色(だくしょく)・グレイッシュと呼びます。
濁った色 = 中間色・濁色(だくしょく)・グレイッシュ
1-5 トーンについて
色の三属性(色相 彩度 明度)のうち、明度と彩度を合わせてトーン(色調)と言います。
トーン(色調) = 明度と彩度
トーンは配色調和を考える上で最適なもので、純色から白を混ぜて明るくして行ったり、黒を混ぜて暗くしていったり、グレーを混ぜて濁して行ったりた色の雰囲気(色の印象)を把握しやすいようにしたものです。
- vivid = あざやかな、目立つ、派手な、いききした V-ビビッド・トーン 彩度 高彩度 色調 純色
- bright = 健康的な、陽気な、華やかな 明るい b-ブライト・トーン 彩度 高彩度色調 明清色調
- strong = 強い くどい、動的な、情熱的な s-ストロング・トーン 彩度 高彩度 色調 中間色調
- deep = 充実した、伝統的な、和風の、深い 濃い dp-ディープ・トーン 彩度 高彩度) 色調 暗清色調
- light = 澄んだ、楽しい、爽やかな、子供っぽい lt-ライト・トーン 彩度 中彩度 色調 明清色調
- soft = 穏やかな、ぼんやりした 柔らかな sf-ソフト・トーン 彩度 中彩度 色調 中間色調
- dull = くすんだ、中間色的 鈍い d-ダル・トーン 彩度 中彩度 色調 中間色調
- dark = 丈夫な、円熟した、大人っぽい 暗い dk-ダーク・トーン 彩度 中彩度 色調 暗清色調
- pale = 軽い、淡い、あっさりした、女性的、優しい、弱い 若々しい 軽い かわいい p-ペール・トーン 彩度 低彩度 色調 明清色調
- light grayish = 明るい灰みの 落ち着いた 渋い おとなしい ltg-ライトグレイッシュ・トーン 彩度 低彩度 色調 中間色調
- grayish = 濁った、地味な 灰みの g-グレイッシュ・トーン 彩度 低彩度 色調 中間色調
- dark grayish = 硬い、 暗い灰みの 陰気な 重い 固い 男性的dkg-ダークグレイッシュ・トーン 彩度 低彩度 色調 暗清色調
2.フラワーアレンジメントの4つの配色組み合わせ
2-1 配色
やっと、前章のコムズカシイ話が終わって、ここからが配色(お花の組み合せ)のお話です。
前章のいろんな用語などは、ふ〜んこんな言葉もあるのね、程度に聞き流してもらって構いません (^_^;)
1章を簡単にまとめると、
「色は原色が混ざり合うことで色んな色ができます、色相や彩度、明度という属性をもち、その属性を変化させることで、それぞれにもつイメージを表現できます」と言う事ですね^^
ここから、その色を組み合わせたカラーハーモニー(色彩調和) 配色のお話です。
配色とは、色と色とを合わせるという事ですよね。
色彩学や、カラーコーディネートの世界では、またまた、難しそうな、沢山の言葉をもった配色の種類があるようですが
以下にざっと、、、、
トーン・オン・トーン/ダイアード配色/トライアド配色/テトラード配色/ペンタード配色/ヘクサード配色/トーン・イン・トーン/カマイユ配色/フォカマイユ配色/トーナル配色/トリコロール配色/ビコロール配色/レピテーション配色/ドミナントカラー配色/ドミナントトーン配色/コントラスト配色/セパレーション配色/グラデーション配色/ワンポイント配色/モノトーン配色/マルチカラー配色/ナチュラルハーモニー/コンプレックスハーモニー・・・etc
う〜ん なんのこっちゃ?!・・・ですよね〜
フラワーデザイン的には ドミナントによる配色 コントラストによる配色 グラデーションによる配色などを学びます。
(この辺りはまた、別の記事で書きたいと思います)
難しい言葉はここでは、使わずに(使えないとも言います 笑) 簡単に、配色を考えてみました。
さっきもいいましたが、配色は色と色とを合わせるという事で、作り出したいイメージを、どのように表現するかなんですね。
例えば、
●お友達の出産祝に可愛らしいお花を送りたい → p-ペール・トーンのピンクのガーベラに水色のブルースターで可愛らしさを表現する
●目上の方へのお礼のお花を作りたい →dk-ダーク・トーンの真紅のバラに深い緑のアンスリュームを合わせ、落ち着きのある高級感を表現する
といったように
贈る方のイメージ、季節のイメージ、用途のイメージ等など、まずコンセプトを考えて、それに合わせて色を決めるといいですね。
実際にフラワーデザインの組み合わせを考える場合、作りたいイメージに合わせて、花器や花の種類を選びますよね
色に影響する物として、花器(白や黒、ガラスなどの無彩色の物は影響しません)、ラッピングに使う和紙やリボン、お花自体の色、グリーンの葉物などがあります。
●基調色(ベース・カラー) もっとも大きい面積の部分を占める色で、背景色となる場合が多い 花器やラッピング等の色も考慮
●主調色(ドミナント・カラー) 一番多く使う色、全体の雰囲気に影響を与える色 マスフラワー
●従属色(アソート・カラー)主調色を補佐する役割で引き立てる色 フィラーフラワーやラインフラワー
●強調色(アクセント・カラー)アクセントとして使われる色で、配色の中で最も目立つ色 フォカルポイントとして使うと効果的 フォームフラワー
※「フラワーデザイン基礎講座」知っておきたい花の特徴、4つのタイプと役割」 参照
この手順を以下に4つのタイプに分けてみました。
2-2 一色の濃淡の組み合わせ配色(モノクロマチック・カラーハーモニー)
一番簡単な配色で、例として赤が基色をした場合、赤の濃淡の組み合わせになります。花器やラッピングをもし、グリーンのペーパーを使った場合、基調色(ベース・カラー)は「緑」 主調色(ドミナント・カラー)は赤のバラ(マスフラワー) 従属色(アソート・カラー)はピンクのスィトピーなど、になります。一番左端のアレンジメントは、色相もトーンも揃えた例です。単調になりがちな欠点があります。
2-3 反対色の組み合わせ配色(コンプリメンタル・カラーハーモニー)
色相環の中で、基色 赤の反対の位置にある緑を合わせた例です。もともと、お花は茎や葉が緑で、自然の中で、この調和のとれた組み合わせをもっていますので、フラワーアレンジの中で、グリーンは何色とも組み合わせることができ、動きや遊びを取り入れるとワンランク上のアレンジメントになりますね。
2-4 類似色の組み合わせ配色(アナロガス・カラーハーモニー)
色相環の中で、基色 赤の側の位置にある橙色や黄色を合わせた例です。鮮やかな赤と黄色となると、けばけばしくなる取り合わせも、トーンを淡い色にしたクリーム色や淡い黄色とピンクなどになると、ちっとも派手ではなくなります。
2-5 三角形位置の組み合わせ配色(トライアッド・カラーハーモニー)
色相環の中で、基色 赤から三角形の位置にある黄色、青を合わせた例です。多色使いをすることは、間違うと統一感のない、チグハグなアレンジになりがちですので、使う色の量や、花の大きさ等を配慮します、白やグリーンをうまく使うとまとまります。
この他に、お花の組み合わせとして、
●一本の花には、いろいろな色が使われている場合がありますよね、 例えば、花びらと芯の色が違う場合、芯の色に近い色の花や葉っぱを合わせると、まとまります。一本の花に使われている色でまとめる
●濃淡でまとめる場合、濃い色で、大きい花は低く、色が薄くて小さい花は高めにもってくるとまとまります。
●本や、サイトを見て、気に入ったデザインや絵などの色合いで選んでみる
●気に入った花が見つかった場合、無理に他に花をあわせなくとも、一種類だけでアレンジしてみる。
●お花屋さん(プロ)と仲良くなって、おすすめの組み合わせをドンドンアドバイスしてもらう。
もはや、最後は配色とは関係ないですが、、、笑
よかったら参考にしてみて下さい^^ 素敵な花合わせを ♫