花屋を開業する
花の仕事と一口に言ってもたくさんあります。
「花屋さんになる」
「ブライダル専門デザイナー」
「教室の講師」
「生産者」
「仲卸業」などなど、多岐に渡りますが、それぞれに知識や技術が必要になります。 自分自身の経験からお話出来る事としてここでは、「お花屋さんになる」事について書いていこうと思います。
花屋は「気力と体力」の仕事
花屋をしていると、 いつも他の人からは「綺麗な仕事でうらやましい」「お花に囲まれて素敵」と言われます。確かにお花は綺麗で素敵だと思います・・・お花は・・・だけど実際は、花屋は「気力と体力」の仕事です。
冬は暖房を入れられないので、寒くて手もかじかみ、あかぎれやひび割れも出来ますし、腰痛はお友達です。
イベント前の準備には徹夜もざらですし、スタンド花がいっぱいの時は、何本もの重いバケツを抱え走ります。
それでも何十年も花屋をやって来られたのは、「花が好き」だから、 その好きな花で、お客様の喜ぶ笑顔が見られるから、 「また買いに来ますね!」の一言に、元気をもらっていたから、です。
もちろん、ビジネスとしての戦略や顧客管理、運転資金などの経理面の管理は大切です。 ただ、その前にある、自分と向き合う作業と、それをお客様に伝え、満足して頂く事ができたら (お客様の役に立てたら)素敵な花屋さんになれると思っています。
質問を頂くメールで一番多いのが、「花屋になるためにどんなスクールに通えばよいか?」と聞かれる事ですが、 返事は決まって「どこにも通う必要はない」と答えます。 前出の「ブライダル専門デザイナー」や「教室の講師」などなら別ですが、「花屋になるため」には必須の資格などはありません。
また、スクールでデザインを勉強しても、その技術は極端に言えば、自分が満足する為の技術なので お客様の要望に応える為の技術でない事が多い(商品として通用しない)ので、変に癖がついてしまった分、修正がきかない場合もあります。
それよりも、実際にセンスのよいお花屋さんへ就職して、実践を学ぶ事が、はるかに役に立ちます。 初めはバケツの水変えや掃除、苗の手入れ、ポップ書きなど地味な仕事がほとんどだと思いますが、 これも先で自分が独立した時にもろに役に立つ財産です。 アレンジメントなどの技術も、 オーナーや先輩から、目で盗んで覚える事です。ノウハウ本を何回読むよりも数段身に付きます。「百聞は一見にしかず」ですね。
スクールではこの現場の仕事は教えてくれないのです。 また、花屋さんで修行はしなくてもいいと言う本などもありますが、私の意見としては、やはり良い花屋さんで1年でも2年でもいいから勉強しておくと、基本が身につきます。 しっかりした基本の上には、応用はいくらでも効かせられますので、必要な期間だと思います。
また、その間に、自分を見つめるとよいと思います。 自分にとって「花屋とは」一生続けられる仕事なのか、 「花は好きだけど、体力がもたない」と言う事もあるでしょう。 自分で開業してからでは、こんなはずじゃなかった…は通用しませんので、この期間によく考えてみる事ができる意味でも重要だと思います。